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  • 大井駿

R.シュトラウス: ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 作品18

リヒャルト・シュトラウスはオーストリアとの国境に位置するドイツ・アルプス麓の町ガルミッシュ・パルテンキルヒェンに生まれ、ホルン奏者であった父親の英才教育によって幼い頃から作曲を始めていました。ミュンヘン大学で哲学と芸術史を学びますが、それでも指揮者と作曲家になることをを諦めきれず、夢を追ってドイツ各地を転々としていました。

しかし若いシュトラウスは古典音楽を尊重するブラームスの交響曲第4番の初演でトライアングルを担当したり、ブラームスのレッスンを受けてみることもあれば、オペラを何度も観てヴァーグナーのような革新的な音楽に惹かれるなど音楽に対しての考え方を模索してたのです。最初のうちは保守的な考えを持つブラームスを信奉していたが、次第にヴァーグナーのような新しい音楽に興味を抱くようになり、当時まだ新しい音楽の一つだった交響詩(音楽に文学的、絵画的な要素を結びつけた曲)では示導動機(ある感情や人物などに特定の旋律を与える技法)を用いて作曲するなど、新しい音楽の開拓に取り組み始めたのです。



このヴァイオリンソナタはブラームス的な考えからヴァーグナーやリストのような新しい作風へと転換するまさにその最中に書かれた作品で、ちょうどこの曲と並行して最初の交響詩「ドン・ファン op.20」も作曲されました。

”リヒャルト・シュトラウス”という名前を聞けば、きっと皆様はオーケストラやオペラを連想すると思います。しかし今回演奏するヴァイオリンソナタはデュオながら例に漏れず、オーケストラ並みに壮大なスケール、非常に高い完成度で書かれているのです。

両全曲を通して”appassionato”の指示が非常に多く、情熱や若々しさが垣間見えるも、演奏効果だけではなく曲の細部にこだわって書かれているため両奏者にはそれに伴う演奏技術が要求されるでしょう…



第1楽章 Allegro ma non troppo

典型的なソナタ形式。堂々としたファンファーレのような動機で幕を開けます。冒頭のリズムは楽章のいたるところに登場します。3回登場する第2主題の指示がそれぞれ違う(情熱的に、甘く、表情豊かに)など、細部にも凝っています。


第2楽章 Improvisation: Andante cantabile

題の通り即興的で、息の長いメロディーが非常に美しい楽章。

急に物々しい雰囲気になるものの、続く中間部は半音階とアルペッジョに富み、艶めかしさをも感じることができます。終わりの方で中間部の主題を伴奏に冒頭の主題が演奏されます。


第3楽章 Andante - Allegro

ピアノの即興的な間奏を挟み、「英雄の生涯」を彷彿とさせるような溌剌とした駆け上がる楽句で第3楽章が始まります。音型こそ違うものの、まるで循環主題のように第1楽章冒頭のリズムとこの楽章冒頭のリズムはほぼ同じになっています。盛り上がったのち登場する悠々とした第2主題は故郷アルプスの大自然を感じさせます。次第にヴァイオリンとピアノが複雑に絡み合う部分や複雑な転調が増え、コーダでは高揚感が終わりまで途切れることなく続き華々しく曲を閉じます。


©️2017 Shun Oi

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